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ALアミロイドーシスの症状と
診断・治療について
ALアミロイドーシスの
治療を
受けている・
これから受ける

監修:島崎 千尋 先生
京都鞍馬口医療センター 名誉院長

ALアミロイドーシスの治療法

全身性アミロイドーシスに対しては、病型ごとに病気の状態に応じた治療法の開発が進んでいます。ALアミロイドーシスに対する治療の基本は、アミロイドの元となるフリーライトチェーン(FLC)を低下させることが主な目的となります1)

ALアミロイドーシスでは、異常形質細胞を標的とした化学療法(薬物療法)や自家末梢血幹細胞移植じかまっしょうけつかんさいぼういしょくを併用した薬による治療などが行われます1)-3)

ALアミロイドーシスはがんではありませんが、複数の抗がん剤を併用投与する治療が行われることがあります。この治療は、アミロイドをつくる原因となる異常な形質細胞を減らすことを目的に行われ、細胞を減らす仕組みは抗がん剤によって異なります。

また、赤血球・白血球・血小板の元となる細胞を「造血幹細胞ぞうけつかんさいぼう」といいます。この幹細胞をあらかじめ患者さんの血液から取り出しておき、薬によって形質細胞を減らした体内に再び戻すのが自家末梢血幹細胞移植です。この治療では、患者さんの骨髄に正常な幹細胞を根付かせて、アミロイドがつくられないようにします。

ALアミロイドーシスは、さまざまな臓器の障害をともなうため、自家末梢血幹細胞移植を安全に行うためには、年齢や全身状態のほか、腎臓や心臓などの臓器がどの程度障害されているかを考慮する必要があります3)。移植が難しい場合には、複数の薬の併用を中心とした治療などが行われます。

それぞれの患者さんの症状や臓器が障害されている重症度に応じて治療法が選択されます2)

アミロイドーシスは完全に治すことが難しい病気ですが、治療効果が得られれば、病状の落ち着いた状態を保つことが可能な病気です。ALアミロイドーシスは、他の全身性アミロイドーシスと比べて病気の進行が速いため、早期に診断し、治療を開始することが大変重要です2)

出典
  • 1)日本循環器学会,他.2020年版 心アミロイドーシス診療ガイドライン.2020.p.55.
  • 2)安東由喜雄(監).植田光晴,他(編).21世紀の疾患 神経関連アミロイドーシス.東京:医学と看護社;2020.p.95-6,p.100.
  • 3)野村萌,他.Heart View.2020;24:1084-90.

治療中に考えられる副作用と
対処法

AL アミロイドーシスの患者さんは、他のタイプのアミロイドーシスの患者さんに比べて、心機能障害が起こりやすいとされています。そのため、体重の変化には十分注意し、むくみやうっ血性心不全がひどくならないように気をつける必要があります1)

また、腎臓の機能が低下することによりネフローゼ症候群となり、体内の皮下や臓器の外に水分がたまってむくみやすくなったり、自律神経障害などを合併して低血圧や立ちくらみ、失神などが起きやすくなったりすることがあります1)

ALアミロイドーシスに対しては、心不全に対する対症療法とともに造血幹細胞移植や新しい薬剤などによる治療が行われます。治療により低血圧がひどくなったり、甲状腺機能低下症が起きたりすることもあります1)

ALアミロイドーシスで全身の臓器がダメージを受けて弱っている場合には、治療による副作用が出やすくなる場合もありますので、アミロイドーシスの治療経験が豊富な専門医に相談し、治療を進めていくことが重要です。

また、体調がいつもと違う場合には、がまんせずに早めに医師に連絡しましょう。

出典
  • 1)安東由喜雄(監).植田光晴(編).最新アミロイドーシスのすべて―診療ガイドライン2017とQ&A.東京:医歯薬出版;2017.p.159-60.