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ALアミロイドーシスと
診断されたら
ALアミロイドーシスの
診断にあたって

監修:島崎 千尋 先生
京都鞍馬口医療センター 名誉院長

アミロイドーシスの検査・診断

アミロイドーシスの症状は、他の一般的な疾患でもよくみられる症状のため、心臓、肺、腎臓に関するほかの疾患の症状と間違われることがよくあります。また、アミロイドーシスと診断するためには経過観察の時間が必要とされますので、さまざまな検査を行い、何度も医師の診察を受けることがあります。
しかし、原因がわからない障害が複数の臓器にわたって生じている場合には、アミロイドーシスの検査を実施したほうがよいこともあります。

検査では、体の一部から採取した組織を特殊な染色液で染色し、特殊な顕微鏡で観察することで、アミロイドが存在するかどうかを確認します。また、心臓、腎臓、肝臓などの臓器から病変の一部を採って調べることもありますが、出血のリスクもありますので、胃や腹壁皮下脂肪、口唇の唾液腺や骨髄の生検(組織を採取すること)が行われます。

アミロイドーシスはどのように診断されるのか、わかりやすい動画を作成していますので、確認してみましょう。

アミロイドが臓器に存在することが確認されたら、次にどの種類のアミロイドが病気の原因であるのかを判断するための検査を行います(図1)。他の検査結果や臨床所見も考慮しながら、どのタイプのアミロイドーシスであるかを見きわめます1)2)

図1アミロイドーシスの検査・診断の流れ

アミロイドーシスの検査・診断の流れ
出典
  • 1)日本循環器学会,他.2020年版 心アミロイドーシス診療ガイドライン.2020.p.16.
  • 2)安東由喜雄(監).植田光晴,他(編).21世紀の疾患 神経関連アミロイドーシス.東京:医学と看護社;2020.p.44.

主な検査値の見方

アミロイドーシスによってあらわれる臓器の障害は多彩なため、それぞれの臓器にアミロイドが沈着していることを疑わせる検査結果がないか、臓器の障害の重症度はどうかなどをさまざまな検査によって評価します1)

血液検査や尿検査を行うことで、臓器の状態を知ることができます(表1)

表1検査および検査値

検査および検査値
  • ※基準値は目安です。基準値は各施設によって異なります。
  • BNP:B 型(脳性)ナトリウム利尿ペプチド。心臓から分泌されるホルモン。
    NT-proBNP:B 型(脳性)ナトリウム利尿ペプチド前駆体N 端フラグメント
    cTnT:心筋トロポニンT。筋肉を構成するタンパク質のひとつ。
    Cr:クレアチニン。筋肉に含まれているタンパク質の老廃物が血液中にどのくらいたまっているかを示す値。
    eGFR:推算糸球体ろ過量。老廃物を尿へ排泄する能力が腎臓にどれくらいあるかを示す値。
    ALP:アルカリフォスファターゼ。リン化合物と呼ばれる栄養素を分解する酵素。
    FLC:遊離軽鎖(フリーライトチェーン)。過剰につくられて重鎖と結合できずに血液中に流出している軽鎖。
    difference FLC:上昇している病的なFLC(遊離軽鎖)と上昇していないFLCの差。
出典
  • 1)安東由喜雄(監).植田光晴,他(編).21世紀の疾患 神経関連アミロイドーシス.東京:医学と看護社;2020.p.44.